性感染症

性感染症は、性的接触（性交やオーラルセックスなど）を介して感染する疾患の総称です。主な性感染症には、クラミジア、淋菌、梅毒、ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス、HIV（エイズ）などがあります。女性の性感染症の特徴は自覚症状に乏しいため、気づかないで放置されて、頚管炎や下腹痛などを起こしたり、腹腔内に炎症がひろがり、膿がたまったり、不妊の原因になったりもします。下記のような症状があるときは、性感染症が疑われますので、早めにご相談ください。

検査・治療

性感染症の種類により異なりますが、問診、内診、おりものの検査、尿検査、血液検査などを行います。治療としては、内服薬、点滴、塗り薬、外科的切除などがございます。性感染症は性交渉により感染するためパートナーの検査・治療も重要です。

主な性感染症

クラミジア感染症

国内では、もっとも感染者数の多い性感染症で、オーラルセックスによってのどに感染することもあります。おりものの増加、下腹部の痛み、頻尿、排尿時痛、不正出血などが見られますが、症状がない場合も多くあります。抗生剤により治療を行います。

淋菌

自覚症状がない場合が多い感染症です。感染が放置されると尿道炎や卵管炎、子宮頸管炎を起こし、子宮外妊娠や不妊の原因となります。クラミジア感染の10％程に淋菌感染も合併しているといわれており、クラミジアと同時に検査を行います。抗生剤により治療を行います。

梅毒

症状は4期に分かれており、自然に症状が消えることもあり、気づきにくく感染を広げてしまうケースがありますので注意が必要です。

症状は4期に分かれており、第1期は感染後約3週間後に、外陰部、口、肛門、手指などの皮膚や粘膜に軟性下疳と呼ばれるしこりができます。足の付け根のリンパ節がはれることがあります。これらの症状はほとんどが数週間で消えてしまいます。第2期は感染から約3か月後に、ピンク色の円形の湿疹（ばら疹）や赤茶色のイボのようなものが体や手足にできたり、脱毛したりします。3年ほど持続することがあり、これらの症状も消えてしまうことがほとんどです。第3期は感染から約3年後に、結節性梅毒疹や皮下組織に大きなしこりができ、第4期は神経や心臓、血管、眼などに重篤な障害が出ます。
最近では、若い女性の間でも梅毒患者が急激に増えている為、梅毒の早期検査を推奨しております。治療は、抗生剤の経口投与、注射薬で行います。

ヘルペス

感染後、２日～７日間の潜伏期間のあとに、外性器に小さな水泡（水ぶくれ）ができ、それが破れると潰瘍が多発し、それが２週間ほど続いた後になくなります。ひどくなると、排尿時に激しい痛みを伴い、排尿が出来なくなることもあります。
また、太腿の付け根のリンパ腺が腫れたり、高熱が出ることもあります。初発は、潰瘍は左右対称にできるのが特徴で、局所にはっきりした病変が無い時でも性器からウィルスを排出してしまい、パートナーに感染する可能性があります。ウイルスは神経節という体の奥に潜むため、治ったあとも免疫が低下したときに再発することがあります。治療は、抗ウィルス薬の経口投与で行います。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウィルスが局所感染を起こし発生する良性腫瘍で、膣や外陰部、子宮頚部にイボができます。

感染後平均3週間～8ヶ月の潜伏期間を経て、白色からピンク色のイボが形成されます。外陰部のかゆみでイボ状のできものに気が付くこともありますが、無症状のこともあります。再発率が高いので徹底的に治療する必要があります。治療は液体窒素、外科的切除、外用薬があります。

トリコモナス

トリコモナス原虫による感染症で、性行為による感染以外にも、浴槽、トイレなどでも感染する可能性があります。おりものの増加、におい、かゆみなどがあります。感染後1週間～2週間で発症することが多いといわれていますが、中には、数カ月にわたり無症状のまま経過することもあります。チニダゾール内服が推奨されていますが、妊娠12週未満の内服は禁忌とされており、授乳中の場合は内服終了後72時間授乳を避けるように言われています。